勘弁してください・・・図面屋さん
『室内と階段の間仕切り家具としてこのようなデザインとなったようですが
地震が来た場合、床固定しか出来ない状況なので室内側か階段側に
必ず倒れる構造となっており人命に関わる問題となっています。』
(原文のまま)
これなんの文章かわかりますか?
わかるわけ無いですね?
私も理解するのにしばらく時間がかかりました・・・
というか、いまだに理解できていません!
実はこれ「納期まであと一週間!!」という切羽詰まった状況にあった
住宅家具の家具図に記載されていたコメントなのです・・・
たま~に仕事を頂く取引先のお客さんなのですが
もともと家具屋ではないので家具の仕事が入れば我々に声をかけてくれるのです。
通常は設計士もしくはデザイナーと直接打合せから私が参加して
「あ~でもない」「こ~でもない」と繰り返し打合せして私が家具図を作図するのです。
しかし!
「今回はもう家具図は出来ているから製作だけお願い!」
ということで渡された図面に記載されていたコメントが最初の文章・・・
・・・!?
この図面を作図した人は一体何がしたかったのか?
こんな状態の図面を渡された家具屋はどうしたらいいのか?
考えられる選択肢は4つ!
①:とりあえず意味不明な理由付けてこの物件はお断りしようか?
②:このまま放置しておくか・・・
③:あのコメントは見なかった事にして製作しちゃうか!
④:納期を延ばしてもらい最初から打合せをやり直すか?
どれも厳しい選択だ・・・
一番現実的なのは④かな?
イヤイヤ・・・①も捨てがたい
納期まで一週間・・・材料発注から考えると時間的にも厳しい!
では④の「納期を延ばしてもらい最初からやり直そう!」
これが一番現実的か・・・?
イヤ!やはり①の逃亡も手段の一つだ!
・・・①か④か・・・!?
私 :「④の納期を延ばして最初からやり直す」でお願いします!
みのもんた :「・・・」
私 :「・・・?」
みのもんた :「ファイナルアンサー?」
私 :「・・・!?ファッ!ファイナルアンサー!!」
みのもんた :「・・・?!」
「それではあなたはもう元に戻ることはできません・・・」
というような感じの葛藤が頭の中をグルグル回るわけです。
最終的に④の納期延期を我々のお客経由で工務店に申し出たのですが・・・
工務店から帰ってきた返答はこんな感じでした!
「なんとしても納期までに取付完了してください!
万が一終わらない場合はペナルティです!」
う~ん!きょうれつ~!!
とか言っている場合ではない!!
図面が完成して無い状態で現場取付完了があと10日後・・・
もう時間的に不可能だ!
この難局!どう乗り越えるべきか・・・!
・・・と考えた挙句に出した答えは「無理な物は無理!」
よくよく考えたら、そんなコメントが入った家具作れるわけない!
人命に関わる問題を放置している図面を作図している人もどうかしている・・・
まさしく図面屋さんの描く図面です。
「ど~やってこの金物使うの?」とか
「ここの作りはどうするの?」とか
頭が痛くなる図面でした。
家具屋の図面だって欠点はあるかもしれんせんが・・・これほどひどいものではない!
今回は事情が事情なので、はっきり出来ませんと言うべき仕事・・・
しかし、そこは家具屋ですから・・・結果なんとかしましたけど。
どうやってなんとかしたか?というと、「開き直りの境地」というやつです。
最初から打合せをやり直したのです。
工務店には事情を説明し、工程を再度組み直してもらう事に・・・
さんざん嫌味を言われましたが「無の境地」です。
そして、納期まであと10日となった状態で設計士のところへ
お客を連れて打合せに行ってきました・・・
ま~プンプン状態の設計士・・・
それも当然です。今さら打合せをする内容の事では無いですから。
その設計士はもうとっくに製作に入っているもんだと思っていたわけです。
設計士にしてみれば、家具の件についての問い合わせがないから
何も問題が無いもんだと思っていたらしいのです・・・
しかし、フタを開けてみれば・・・このありさま。
直前に話を持ってこられた家具屋の私もプンプン状態の設計士としてみれば
ここまで家具の打合せを先送りしてきたお客さんと同類として怒られるわけです・・・
なんとも納得のいかない状況!
しかし、そこは大人!
一緒に頭を下げるのです・・・あぁ~これが大人社会!
厳しい現実・・・!
そして私にはもう一つ厳しい現実がまっています・・・
それは、こんな状況の家具図を工場に持って行き納期まであと一週間!
と工場にいるなんも専務はじめ工場長に伝えると・・・
それはそれはもう暴動が起きそうなぐらいの勢いです!
「そんな時間で出来る訳ないだろ~!!!」
・・・そのお怒り、ごもっともです。
そして行き場のない私のこの感情はというと・・・
私のお客とこの図面を書いた図面屋へと向かうことになるのです!!!
図面屋さんにも困ったものです!
二カ月かけてこの図面・・・実際に家具を造る人ではないので
言われた通り図面を書いたらハイ終わり!無責任極まりない!
しかし、家具屋はいくら図面通りに製作したところで、
万が一人命にかかわる問題が発生した場合に
責任は製作した家具屋に来るわけです・・・
お客さんには「次回からは図面はウチで書くから変な図面屋に頼まないで!」
と言う内容と「次回またその図面屋が図面描くならウチは作りません!」
と厳重注意をして今回はなんとか現場に納まりました。
しかし、先日またそのお客から図面が送られてきた・・・前回と同じ図面屋が書いた図面!
果たして、この展開はどうするべきか?
厳しい現実が待ち構えている大人社会です・・・
一日ワンクリック!!!