拝啓!情熱大陸様 『巨匠・宮本茂紀さん』・・・図面が無い作業
今日は、先日ミネルバの宮本さんを訪ねた時のお話。
今回は奈良遷都1300年記念の行事に使用されるという
宮内庁所有の馬車を修繕する仕事を見学させていただきました。
宮内庁には約20台程の馬車がありますが実際に使用しているのは10台程・・・
定期的に修理されているのだと言います。
見たこともない馬車が目の前に
この馬車は国賓級専用の馬車として造られたものだという。
この修理は5年に一回、40年に一度行うという。
出ました!十六弁八重表菊紋
内装も美しく
扉の丁番も見たこと無い・・・
この時にしていた作業は、馬車の外部の下地張りをしていました。
職人さんがしている作業を見ているとものすごく手際よく進めている
貴重な品物にキズが付かないように毛布で養生している
麻の生地を下地として張ります
麻の糸で縫います
ここで気になったのが、職人の方が何も見ないで作業しているように見えたのだ・・・
通常、家具製作時には当然図面や参考資料等があると思っていましたが
この修繕作業には図面が見当たらないのだ・・・
職人さんに聞いてみた、「どんな図面を見て作業しているんですか?」
すると「図面?そんなものないよ!」というではありませんか・・・
おぉ~さすが職人だ!
話をさらに聞いてみる
私:「どうやって図面無しで作業が進められるんですか?」
職人:「実物を分解・解体する時によく確認しながら作業して、一応写真も撮っておく」
私:「図面無いんですか?」
職人:「あぁ~この馬車を造った時はあったんじゃない?」
なんとも粋な回答が返ってくるではありませんか・・・
馬車を解体・分解している時に、全てを頭の中に取り込んでイメージしているのだろう!
そして、確認したい所は写真を撮ってあるそうなので不明点は全てそれを見て
再度、頭の中のイメージを確定させているという。
簡単なようで非常に難しいその頭の中で完成形をイメージする。
我々もよく家具のリフォームをしますがやはり図面が無い事があります。
特に他の家具屋で製作した家具等はどのように製作したかわかりません
当然図面も無い・・・
しかし家具のリフォームは何となく構造はイメージできるが馬車となると・・・
職人技だけでは通用しない世界!
「これをやったらどうなる?」等の想像力・創造力が備わっていなければ職人にはなれない・・・
奥が深い世界です。